整体院の開業に必要な届け出|開業届・青色申告承認申請書の書き方も
整体院の開業にあたり、必要な届け出や注意すべきポイントについて知りたいと考えている人も多いことでしょう。不備なく届け出を行いスムーズに整体院を開業するためには、必要な手続きの流れを事前にイメージしておくことが大切です。
今回は、「整体院開業時に提出する書類の書き方」と「開業に向けて押さえておくべきポイント」について解説します。整体院の経営・集客に役立つおすすめのツールも紹介するため、整体院開業を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.整体院開業に必要な届け出は?
- 1.1.接骨院・鍼灸院との違い
- 2.整体院開業時に提出する書類の書き方
- 2.1.開業届の書き方
- 2.2.青色申告承認申請書の書き方
- 3.整体院を開業する際に押さえるべきポイント2つ
- 4.まとめ
整体院開業に必要な届け出は?
整体院の開業にあたり、「必ず行わなければならない届け出」はありません。
しかし、整体院の開業時には、確定申告で青色申告を行えるように「開業届」と「青色申告承認申請書」を一緒に提出することが一般的です。
税務署は、開業届の提出によって個人事業主の開業を把握できます。
整体院の開業で提出する書類は開業届のみでも問題ありません。しかし、一緒に青色申告承認申請書を提出することで、下記のメリットが得られます。
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ただし、青色申告で65万円控除を受けるためには、下記の要項をすべて満たすことが必須です。
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接骨院・鍼灸院との違い
資格が不要な整体院とは違い、接骨院は「柔道整復師」、鍼灸院は「はり師」「きゅう師」の国家資格が求められます。整体院に比べて必要書類が多くなり、提出先も複数あることが特徴です。
下記に、接骨院・鍼灸院の開業に必要な申請と提出先をまとめました。
必要書類 |
提出先 |
施術所開設届の提出 |
保健所 |
開業届の提出 |
税務署 |
受領委任契約に関する申請 |
地方厚生局 |
労災保険に関する申請 |
都道府県労働局 |
共済番号・防衛省番号に関する申請 |
国家(地方)公務員共済組合連盟・防衛省 |
なお、施設を設置せず出張専門で業務を行う際は、「施術者出張専門業務開始届」の提出が必要です。
整体院開業時に提出する書類の書き方
整体院開業時に必要な書類は、期日までに所轄の税務署に郵送するか窓口に持参します。開業届の提出期間は、開業日から1ヵ月以内となっていますが、提出期間を過ぎても罰則はありません。
一方、青色申告承認申請書は、下記の期日を過ぎると青色申告を行うことができなくなります。
1月15日までに事業開始 |
同年3月15日まで |
1月16日以降に事業開始 |
事業開始日から2カ月以内 |
開業届を提出していなければ、青色申告承認申請書を提出することができないため、必要書類の提出や手続きは早めに済ませておきましょう。
ここからは、整体院開業時に提出する書類の書き方について詳しく解説します。
開業届の書き方
開業届は、税務署の窓口または国税庁のホームページから取得可能です。手書きまたはパソコンで作成することもできます。
○記載事項
開業届の主な記載事項と詳細は、下記の通りです。
記載事項 |
詳細 |
所轄税務署名・提出日 |
納税地を所轄する税務署名 |
納税地の住所・電話番号 |
住所地、居所地、事業所等のいずれか |
氏名・捺印・生年月日 |
捺印は屋号印も可 |
個人番号(マイナンバー) |
正しい個人番号(12桁)を記載 |
職業 |
整体師、リラクゼーション療法施術人等 |
屋号 |
なければ空欄 |
届出の区分 |
「開業」にチェック |
所得の種類 |
他に所得がなければ「事業所得」にチェック |
開業・廃業等日 |
提出日から1ヵ月以内 |
事業所等を新増設、移転、廃止した場合 |
新規開業は記載不要 |
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無 |
「青色申告承認申請書」にチェック |
事業の概要 |
整体による施術 |
給与等の支払いの状況 |
従業員の雇用予定があれば記載 |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無 |
申請書を提出する際のみチェック |
給与支払を開始する年月日 |
従業員の雇用予定があれば記載 |
開業届には、記載事項が約15項目あります。すべての項目を埋める必要はなく、該当しない箇所は空欄のままで問題ありません。
○書き方のポイント
納税地を所轄する税務署名は、国税庁のホームページから検索できます。開業届には個人番号の記載が必要ですが、写しには記載不要です。コピーを控えとする際は、マイナンバーを記載する前にコピーしておきましょう。
青色申告承認申請書の書き方
青色申告承認申請書の取得方法と作成方法は、開業届と同様です。
○記載事項
青色申告承認申請書の主な記載事項と詳細は、下記の通りです。
記載事項 |
詳細 |
所轄税務署名・提出日 |
納税地を所轄する税務署名 |
納税地の住所・電話番号 |
住所地・居所地・事業所等のいずれか |
氏名・捺印・生年月日 |
捺印は屋号印も可 |
職業 |
整体師・リラクゼーション療法施術人等 |
屋号 |
なければ空欄 |
青色申告開始を希望する年度 |
令和○年度 |
事業所又は所得の基因となる資産の名称及びその所在地 |
店舗が1つであれば記載不要 |
所得の種類 |
他に所得がなければ「事業所得」にチェック |
いままでに青色申告承認申請書の取消しを受けたこと又は取りやめをしたことの有無 |
なければ「無」にチェック |
本年1月16日以後新たに業務を開始した場合、その開始した年月日 |
すでに開業している際は記載不要 |
相続による事業継承の有無 |
該当しなければ「無」にチェック |
その他参考事項 (1)簿記方式 (2)備付帳簿名 |
該当する箇所にチェック |
関与税理士 |
確定申告代行を依頼する税理士がいる際は氏名と連絡先を記載 |
青色申告承認申請書の記載事項は、開業届と重複する内容もあるため、相違がないように埋めましょう。
○書き方のポイント
青色申告で65万円控除を希望する際は、簿記方式で「複式簿記」を選択します。また、備付帳簿名(青色申告で備付ける帳簿名)では、下記8項目にチェックが必要です。
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整体院を開業する際に押さえるべきポイント2つ
整体院を開業するにあたり、期日までに必要な届け出を行う以外にも押さえておくべきポイントや注意点がいくつかあります。
店舗を借りて整体院を開業する際は、賃料・設備投資・宣伝広告費等、開業資金の準備が必要です。概ね150万~200万円用意しましょう。また、売上につなげるためには、集客率を高めることも大切です。
ここでは、整体院の開業で重要な「広告表現」と「集客方法」について解説します。
広告表現に注意する
整体院を成功させるためには、チラシやホームページに広告を出して積極的に宣伝することがポイントです。
しかし、整体院の広告には使用できない表現があり、知識がないまま使ってしまうと法律違反となる可能性があります。
具体例 |
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誇大広告 |
「最高・一番の施術」 「痛みが消える」 「○○体質になる」 「過剰な写真比較(施術前・施術後)」 など |
施術者の出身校名や経歴名称の記載 |
「○○学校卒業」 「○○で技術を取得」 など |
他にも、「具体的な施術方法」や「医療行為を連想する表現」等、広告に記載できない表現があるため、広告ガイドラインをしっかり確認しておきましょう。
集客方法を考える
整体院の主な集客方法とメリットは、下記の通りです。
集客方法 |
メリット |
インターネット |
・効果的に新規の患者さんを獲得できる ・SNSの活用で情報を伝えやすくなる |
店頭ボード・看板 |
・地域の人や通りすがりの人にアピールできる ・店の存在を知ってもらうことができる |
チラシ配布・ポスティング |
・不特定多数の人に宣伝できる ・店の認知度が高まる |
多くの人に整体院の存在を知ってもらい集客につなげるためには、低コストかつ大量の情報を発信できるインターネット集客に力を入れましょう。
インターネット集客を始める際は、治療院専門のホームページ作成ツール「セルフル」の導入がおすすめです。
セルフルを活用すると、無料セミナーで集客の手順やノウハウを学びながらホームページ運営を続けられます。さらに、ホームページの改善や最新機能のアップデートも活発に行われているため、長期的な集客を目指せるでしょう。
まとめ
整体院の開業には、「開業届」「青色申告承認申請書」の提出が必要です。2つの書類を提出することで、所得控除や赤字の繰越等、得られるメリットは数多くあります。
開業届と青色申告承認申請書は、手書きもしくはパソコン作成が可能です。該当箇所への記載と捺印を行ったら、期日までに提出を済ませましょう。
整体院の開業では、集客に向けた取り組みも重要です。禁止されている広告表現に注意し、集客アップにつながるツールを上手く活用しながら、スムーズな整体院の開業を目指しましょう。