整骨院・接骨院が自費診療を行うメリットと移行時の注意点
年々、整骨院・接骨院の施設数は増加傾向にあります。
自費診療を導入することで、他の治療院と差別化を図り、客単価を上げることが可能です。
一方で、「自費診療へ移行した場合、既存顧客が離れるのではないか」と不安に思う方もいるでしょう。
今回は、自費診療の整骨院・接骨院が増えている理由から、自費診療を導入するメリット・注意点・集客する際のポイントまで解説します。
自院で自費診療を導入するかどうか迷っている経営者は、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
自費診療の整骨院・接骨院が増えている理由
近年では、自費診療を行う整骨院・接骨院が増えています。
以下は、多くの治療院が自費診療へ移行する主な理由です。
・増加している競合と差別化を図るため
柔道整復の施術所は、年を追うごとに増加し続けています。
以下は、柔道整復の施術所における年次推移を示した表です。
平成20年 |
平成22年 |
平成24年 |
平成26年 |
平成28年 |
平成30年 |
34,839 |
37,997 |
42,431 |
45,572 |
48,024 |
50,077 |
(出典:厚生労働省「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況/https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/18/dl/gaikyo.pdf)
平成20年には約35,000カ所だった施術所は、平成30年には50,000カ所を超え、10年間で約15,000カ所も増加したことが分かります。
他の施術所との差別化を図るために、自費診療を導入する整骨院・接骨院が増えています。
・保険請求の審査が厳しくなっているため
整骨院・接骨院において、健康保険の適用範囲となる施術は、骨折・不全骨折・脱臼・打撲・捻挫の5種類であり、肩こり・腰痛などの症状は該当しません。
しかし、肩こり・腰痛の症状を、骨折・捻挫などとして虚偽の申告を行い、不正に請求する治療院が多く発生しました。
そのため、現在では、保険請求の審査が厳しくなっています。
また、国全体の医療費が増えていることも、審査が厳しくなった要因の一つです。
整骨院・接骨院が自費診療を導入するメリット
自費診療を行うことで、整骨院・接骨院の経営を安定させることが可能です。
自費診療の導入を迷っている場合、まずは自費診療にどのようなメリットがあるかを理解しましょう。
ここでは、自費診療を導入する3つのメリットを紹介するため、整骨院・接骨院の経営者はぜひ参考にしてください。
客単価が上がり利益に繋がる
保険治療と異なり、自費診療では施術価格を自由に設定できます。
そのため、客単価を上げることが可能です。
一方で、「自費診療にすると患者さんの金銭負担が増えるため来院頻度が減るのではないか」と考える経営者の方もいるでしょう。
以下は、売上の構造を理解する上で大切なポイントです。
売上の算出方法 |
客単価×客数 |
客数が下がってしまっても、客単価を上げることで、売上を維持・向上させることができます。
そのため、自院にあった適切な客単価を設定し、あくまで「売上」を上げることにこだわることが大切です。
また、自院ならではの強みを活かした独自のメニューを用意することで、施術単価が上がった場合でも、患者さんは継続して来院してくれるでしょう。
施術器具を買わずに手技で施術できる
自費診療の場合、施術器具を買わずに、手技のみで施術が可能となります。
手技による施術メニューを多く導入することで、施術器具の購入費を抑えて経営を行うことが可能です。
例えば、マッサージ・カイロプラティック・筋膜リリースなどの手技施術が挙げられます。
手技を中心とした魅力的な施術メニューを展開することで、自身のスキルを活かして他院との差別化を図ることが可能です。
保険請求の手間を省ける
保険診療を行う場合、保険請求を行うための「レセプト」と呼ばれる診療報酬明細書の作成が必要です。
医療事務未経験の方にとって、レセプト作成業務は非常に煩雑であり、時間を要します。
自費診療の施術の割合を増やすことで、レセプト作成業務の負担を大幅に減らすことが可能です。
保険請求にかけていた時間を削減できるため、人件費の改善にも繋がります。
近年では、保険請求の審査が厳しくなっているため、保険請求をしたにもかかわらず、保険適用が認められなかったケースは少なくありません。
保険適用が認められない場合、整骨院・接骨院には金銭的な損失が発生します。
そのため、リスクを回避する目的としても、自費診療の導入は役に立ちます。
整骨院・接骨院が自費診療へ移行する際の注意点
自費診療の導入には様々なメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットもあります。
特に、保険診療をメインに行う整骨院・接骨院が、自費診療をメインとした診療内容へ移行する場合は注意が必要です。
患者さんと良好な関係を維持しつつ、自費診療を導入できるよう、以下の注意点を確認しましょう。
既存客が離れないよう徐々に移行する
整骨院・接骨院の経営者が、自費診療への切り替えをためらう理由の一つに「値上がりにより既存客が離れる」という懸念が挙げられます。
患者さんの中には、「保険が適用されるから施術を受けているけれど、保険が適用されない場合は受けたくない」と考える方もいるでしょう。
そのため、自費診療を導入する場合は、患者さんが離れないように、段階的な移行が重要です。
例えば、曜日や時間帯を限定して自費診療を導入したり、自費診療を利用した患者さんにクーポンを配布したりするなどの施策を打ち出すと良いでしょう。
段階的に自費診療へ移行することで、既存客を離すことなく、経営を維持できます。
適切な価格・施術計画を設定する
自費診療を導入した場合、保険適用時よりも患者さんの負担額は増えます。
そのため、あまりにも高すぎる施術料金を設定した場合、患者さんの来院回数が減ったり、別の整骨院・接骨院へ乗り換えられたりする恐れがあります。
以下の点を意識して、自費診療における施術料を決定しましょう。
・毎月の売上目標から逆算して客単価・施術料を算出する ・自費診療を実施している周辺地域の整骨院・接骨院の施術料を基準にする ・アンケートなどで既存客の意見を集めて参考にする |
施術価格だけでなく、患者さんに長く継続して通ってもらうために「施術計画」についても考えましょう。
定期的に来院してもらうためには、「自分の身体の状態が変化している」と患者さんに実感してもらうことがポイントです。
実際の施術で患者さんの身体を改善させることはもちろん、身体の状態に関して質問したり、アンケート用紙に感想を記入してもらったりすることもおすすめです。
技術を磨いて顧客満足度の向上を図る
自費診療を導入する際には、「安いから来院したい」ではなく、「悩みが解消されるから来院したい」と患者さんに思ってもらえる状態を目標としましょう。
自費診療への切り替えと同時進行で行うべきことは、施術内容や技術の向上に努めることです。
さらに、技術力の向上だけでなく、患者さんとのコミュニケーションも大切にしましょう。
患者さんから「信頼できるパートナー」と認められることで、継続的な来院に繋がります。
例えば、身体状態の変化に長い時間を要する場合、「どれくらいの通院が必要か」「自宅でできるセルフケア」などを説明すると、患者さんに対して親切です。
信頼を得ることができれば、長期にわたって通院してもらえるだけでなく、口コミや紹介などで新規顧客の獲得にも繋がります。
自費診療の整骨院・接骨院が集客する際のポイント
近年では、整骨院・接骨院を探す際にインターネットで検索する患者さんが多くいます。
そのため、Web集客に力を入れることで、自費診療を導入しても効果的に患者さんを集めることが可能です。
プロデュース・アクティビストでは、ホームページを簡単に作成できる「セルフル」や、予約・顧客管理ができる「COCKPIT」などのWeb集客ツールを提供しています。
治療院専門のツールであり、導入実績も豊富にあるため、ぜひ利用してみてください。
【参考1】集客力が上がるホームページ制作システム「セルフル」の強みや特徴はこちら↓
【参考2】経営分析と改善点がわかる顧客管理・予約システム「COCKPIT」はこちら↓
まとめ
整骨院・接骨院は年々増加傾向にあることから、自費診療を導入して、柔道整復を行う他の治療院と差別化を図ることが大切です。
自費診療を導入することで、客単価を高めることもできるため、売上の増加に繋がります。
一方で、自費診療を行う際は段階的に移行を行い、患者さんが離れないような工夫を行いましょう。
また、他の整骨院・接骨院と差別化を図るためには、Web集客に力を入れることも有効的です。
セルフルやCOCKPITなどの治療院専門の集客ツールを使用し、効率的に集客を行いましょう。