整骨院は法人化すべき?個人開業の違いや法人化のメリットとは
個人事業主として整骨院を経営している方や、独立して整骨院を開業したいと考えている方の中には、整骨院を法人化(会社設立)するかどうか迷う方もいるでしょう。整骨院の法人化にはメリット・デメリットの両方があるため、きちんと把握したうえで個人事業主として経営するか、法人として経営するか判断する必要があります。
今回は、整骨院における個人事業主と法人の違いや、法人化するメリット・デメリットについて解説します。整骨院を法人化するべきか悩む方は、参考にしてください。
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整骨院における個人事業主と法人の違い
整骨院の経営方法には、主に「個人事業主」と「法人」の2つのパターンがあります。それぞれの経営方法の違いは下記のとおりです。
個人事業主 |
法人 |
|
開業方法 |
最寄りの税務署に開業届を提出する |
最寄りの税務署と管轄の地方自治体に届出が必要 |
開業にかかる期間 |
開業届に不備がなければ基本的には即日開業可能 |
数週間~数ヶ月程度かかるケースもある |
開業にかかる費用 |
書類の提出自体には費用はほとんどかからない |
登記申請や定款作成が必須であるため10~30万円ほど開業費用がかかる |
開業時の人的コスト |
開業する本人だけで手続き可能 |
発起人や取締役の他、株主の募集など、多数の人が関係する |
収入にかかる税金 |
所得税(累進課税であり所得によって税額が変動する) |
法人税(税額は一律) |
会計のしかた
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個人で確定申告書を提出し確定申告(青色申告または白色申告)を行う |
法人決算書・申告が必要(税理士に依頼することが多い) |
事業の廃止方法 |
廃業届を提出する |
解散登記を行う(登記費用が数十万円かかるため注意) |
このように、個人事業主と法人では、起業・開業時に必要な手続きや費用などが異なります。どちらの経営方法で整骨院を運営するか検討する際は、これらの違いを十分に理解したうえで判断するようにしましょう。
整骨院が法人化するメリット3選
整骨院を開業するときは、個人事業主として開業したほうが開業時の手間や費用がそれほどかかりません。そのため、会社を設立するよりも個人事業主として開業するほうがメリットが多いようにも感じられますが、整骨院を法人化するメリットも複数存在します。
ここでは、整骨院が法人化するメリットを3つ解説します。
経費にできる項目の幅が広がる
整骨院を法人化した場合のメリットとして、経費(非課税)にできる項目の幅が広がることが挙げられます。個人事業主も経費計上できる項目はありますが、法人よりも節税効果のある範囲が限定的であることに注意しましょう。経費の取り扱いにおいて、個人事業主と法人で大きく異なる点には下記のようなポイントがあります。
■個人事業主と法人における経費の取り扱いの違い
個人事業主 |
法人 |
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給与(収入) |
収入金額から経費を引いた金額が事業所得となるため、代表者の所得税の負担が大きくなる恐れがある |
経営者でも法人から給与として受け取ることとなるため、個人の所得税額を抑えられる |
生命保険料 |
生命保険料控除として年間12万円を上限に所得控除が可能 |
法人で経営者の生命保険を契約した場合、生命保険料を一定の割合で経費にできる |
社宅(居住用の住宅) |
居住用の物件の家賃は経費に分類できない ※自宅開業の場合は事業スペース(オフィスとして使っている部分)の家賃のみ経費にできる |
法人名義(会社名義)で役員の居住用の自宅を借りた場合、家賃を一定の割合で経費にできる |
家族に給与を支給して税負担を軽減できる
確定申告を青色申告で行っている個人事業主の場合、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出しなければ、配偶者など家族への給与を経費として扱えません。仕事をして給与を受け取る家族の氏名や、支給する給与額などの必要事項を申請書類に記入し、事前に届け出る必要があるため手間と時間がかかります。
一方、法人化すると家族に給与を支払う場合でも税務署への届出は必要ありません。従業員の給与は経費として扱われるため、個人事業主の場合よりも所得の分散ができ、節税対策の自由度が高くなると考えられます。
社会的信用度が高くなり融資を受けやすくなる
個人事業主として整骨院を経営し続けることは可能であるものの、法人化することで金融機関などの取引先からの社会的信用度が上がります。融資を受けやすくなり、資金調達のハードルも下がるでしょう。
金融機関によっては「法人化していない事業者とは取引しない」といいう規制があるケースもあるため、事業拡大を計画している方は注意してください。
整骨院が法人化するデメリット2選
整骨院を法人化することには、経費や家族に支給する給与の自由度、社会的信用の向上といった多数のメリットがあります。しかし、メリットもある一方で、整骨院の法人化にはデメリットもいくつか存在することに注意しましょう。
ここでは、整骨院を法人化した場合のデメリットや注意すべき点について解説します。
社会保険料を負担する必要がある
個人事業主として整骨院を経営する場合、従業員が5人未満であれば社会保険(厚生年金や健康保険)に加入する義務はありません。一方、法人として企業経営する場合は、スタッフの人数にかかわらず社会保険に加入する義務があります。
法人の場合、従業員分の社会保険料を半額程度負担しなければなりません。従業員が4人未満の整骨院では、金銭的な負担が大幅に上がることに留意しましょう。また、従業員が増えるほど、負担する社会保険料の金額は増えることに注意が必要です。
赤字でも法人住民税の支払いが発生する
個人事業主の場合、経営が赤字になってしまうと、課税対象となる事業主本人の所得金額がないため、所得税や住民税の支払いはなくなります。一方、整骨院を法人化した場合、「整骨院」という法人格に住民税(法人住民税)が資本金などをもとに一律で課税されます。赤字経営となった年でも法人住民税の支払いは免除されないことに注意しましょう。
なお、法人住民税は小規模な法人の場合でも、法人都道府県民税均等割で2万円ほどです。法人市町村民税均等割で5万円ほどとなり、年間7万円程度かかります。
整骨院が法人化するのに適したタイミング
整骨院を開業する場合、最初から法人として開業するのではなく、開業時の手間やコストが少なく済む個人事業主として施設をオープンするケースが多いといわれています。整骨院が法人化するのに適したタイミングは、下記のとおりです。
〇売上が500万円超となったとき …500万円を超えると個人の所得税率が上がるため 〇売上が1000万円超となったとき …消費税を納税する義務が発生するため |
ただし、上記のタイミングはあくまでも目安です。売上だけで判断せず、資金計画や今後の経営戦略・事業計画・経営力などをふまえたうえで総合的に判断しましょう。
法人化した整骨院の経営を成功させるためには?
法人化した整骨院の経営を成功させるためには、自院への集客が非常に重要です。しかし、経営に関する業務や施術業務などで忙しい状況で、集客・営業に時間を割けないケースは珍しくありません。
法人となった整骨院の集客を効率よく行うためには、治療院専用のホームページシステム「セルフル」の導入がおすすめです。セルフルを利用すれば、誰でも簡単に自院のホームページができ、ページ編集・追加も好きなタイミングで行えます。自由度が高く自院に合ったホームページ設計ができるため、WEB集客に役立つでしょう。
顧客管理やWEB予約を簡単に行いたい方は、顧客管理・予約システム「COCKPIT」を活用しましょう。COCKPITを利用すると、基本的なデータをパソコンに入力するだけで簡単に経営分析や顧客管理を行うことが可能です。予約システムも簡単に利用できるため、すぐにWEB予約をスタートでき集客アップにつながる可能性が高まります。
このように、治療院専用の集客・顧客管理ツールを使用することで、業務効率アップや売上アップを図れます。整骨院の法人化に失敗したくないと考えている方は、セルフルやCOCKPITといったサービスの利用を検討してみましょう。
まとめ
整骨院は「個人事業主」「法人」のどちらでも開業・経営可能です。個人事業主と法人では、独立開業するときに必要な手続きなどの違いがあることや、法人化には多数のメリットがある一方でデメリットもいくつかあることに注意しましょう。
法人化した整骨院の経営を軌道に乗せるためには、効率よく集客することが重要となります。治療院専用のホームページシステムのセルフルや、顧客管理・予約システムのCOCKPITを活用して効果的に集客を行い、整骨院におけるビジネスを成功させましょう。